30年以上患者を悩ませた腹痛とその原因の推察

患者の訴えの中で、腹痛は頻度の多い症状の一つです。

 

漢方治療を始めてから気付いた腹痛の一つに筋肉痛があります。

内科をしていますと、腹痛と言えばお腹の臓器、例えば胃腸、膵臓、腎臓などの臓器由来の痛みを考えがちです。

しかし、診察でお腹を触ってみますと、筋肉痛としか思えない腹痛は割りと経験します。

特に若い方では多いように思います。

 

 

さて、今回ご紹介するのはそんな「筋肉痛」と思われる腹痛の患者です。

 

お話を伺うと30年以上前から毎日夕方くらいになると下腹部が痛むという症状に悩まされておられました。

診療時間の関係上、腹痛出現時に診察できたことがありません。

症状がない時のお腹には特に異常所見は認めませんでした。

 

先ずは腸由来の痛みを考え、腸に効果のあるような漢方薬を使ってみました。

最初は劇的に効き患者さんも喜んでおられましたが、次第に効果が減弱したため他の漢方薬をいろいろ試してみました。

いくらか効果を示すものの、なかなか十分な効果が得られていない状況でした。

私の腸に対する漢方薬のアイデアも出し尽くした感じになっておりました。

 

ある時、腰痛の訴えがあったため漢方薬で治療を開始しました。

そうすると偶然にも腰痛ばかりか腹痛も改善傾向になったのです。

 

なぜ？

あれだけいろいろ試して効果なかったのに？

 

今回使った漢方薬は筋肉痛や関節痛、神経痛など、主に運動器由来の痛みを改善するものです。

 

・・それで気付きました。

腸由来の痛みと思っていた私の予想が違っていたのです。

特に最初の腸に対する漢方薬が劇的に効いたために、その先入観に囚われてしまっていました。

 

腹痛の原因は恐らく筋肉痛なのです。

そう考えると、私の中では全ての事象がつながります。

 

最初の入り口を間違えたために効果が出るまでに時間が掛かってしまい、患者さんにはご迷惑をお掛け致しました。

これからはどんどん症状が良くなると思います。

期待していて下さい。

 

 

このように意外なところに腹痛の原因が隠れていることがあります。

「腹痛があるけど、検査しても特に異常はなかった。」

そのような患者さんは少なくないと思います。

 

腹痛でお悩みの方、一度、ご相談下さいませ。

改善のキッカケが見つかるかもしれませんよ。